暁の星の下で

面倒くさがりセクマイの四方山ばなし

17歳、24時。


誘われたので電車で遠くまで飲みに行って来た。
いい感じの酔いの回り具合で帰り道、駅に着く。


いつもならここからタクシーだった。
でも今日は歩けそう。歩こう。何となく気持ちが軽い。
もうこの街を少しずつ包みかけている春を感じながら、歩きたかった。



スマホの音楽を聴きながら歩く。
スマホよりもっと奥にいる声に合わせて唄おう。
例え田舎道でも、この夜の景色はドラマティックに映る。


車が当たり前の生活では見えないものが、次々と視界に入ってくる。
楽しい。ちょっと顔が笑ってる。今だけだとしても、歩くって素晴らしい!





高校の前に来た。



途端に胸が張り裂けそうになった。



校名のプレートを指でなぞる。


すぐ横には電話ボックス。




もの凄いスピードで、記憶が眼の前の風景に重なる。よみがえってくる。





自転車のハンドルを握って立っているあなた。
抑えきれない気持ちを隠して近寄るわたし。



ボックスの前で待ち合わせをした
24時、17歳の初夏。





隣街から一時間掛けて自転車を漕いで来てくれたあなた。
家族に気付かれないように家を抜け出し、遅れまいと学校へ急ぐわたし。




特別な夜だった。



どんな気持ちで待っててくれたのだろう。




泣きそうになりながら、また歩みを進める。






壊れてしまうのが怖くて、好きだと口に出来なかったわたし。
全てを、どんな時も惜しみなくぶつけてくれたあなた。



Oh thinkin' about all our younger years
There was only you and me
We were young and wild and free



Bryan Adams "Heaven" の
歌詞そのままの、
二人が好きだったね。









いつかまた、逢いたいです。





おやすみなさい。